急性期病院で脳卒中患者さんに長下肢装具の作成って必要なの?

みなさんこんにちは。

脳卒中後の急性期リハビリテーションでは、患者さんの状態によって長下肢装具を使用する場合もあるかと思います。

勤務先の病院では、長下肢装具を用いて急性期から歩行練習を行うことが一般的に行われており、患者さん用の長下肢装具をオーダーする場合もあります。

しかし、入院期間が短いためオーダーした装具が到着してもすぐに回復期病院に転院してしまうのが現状です。

そのため、「転院してから状態に合わせて次の担当者に評価・作成してもらった方がいいのかな?」と悩むことがありました。

今回は、Twitterで回復期病院の理学療法士さんたちからご意見をもらえたのでまとめてみました。



Table of Contents
1. 急性期病院で長下肢装具を作る?
2. 回復期病院の理学療法士さんからのアドバイス




 1. 急性期病院で長下肢装具を作る?

脳卒中後の早期リハビリテーションが推奨されていることもあり、急性期病院では入院後すぐにリハビリのオーダーがでることも一般的だと思います。

ICU入室中から離床をすすめ、座位~立位~歩行へと動作練習へと移行していきます。

急性期では意識レベルや筋力の改善が乏しく、動作練習に長下肢装具が必要になる場面も多いです。

評価用の装具を使用する急性期病院が多いかと思いますが、やはり患者さんによってはフィッティングが良くないという場合もあります。

そんな場合は、その患者さん専用の長下肢装具を装具屋さんに作成してもらうことを患者さんに提案します。

患者さんやご家族によっては二つ返事で作成を承諾される場合もありますが、金銭的なことやリハビリに対するモチベーションによっては作成を希望されない場合もあります。

作成を提案する我々スタッフとしても、ようやく意識が回復して動作練習ができはじめ、今後どの程度動けるようになるか判断が難しく、数日で転院するであろう状況で装具の作成を提案することを躊躇してしまうこともあります。

そこで、Twitterで回復期病院の理学療法士さんにこんな質問をしてみました。

『回復期病院で働いてる理学療法士の方は、急性期病院にいる間に長下肢装具を作成してから転院してくることについてどう感じてるのかな。状態が変化していく中で、使いづらく感じてるのかなぁ。どなたかよかったら教えてください。』

いくつかお返事をいただくことができたので、ご紹介していきたいと思います。



 2. 回復期病院の理学療法士さんからのアドバイス

結論から言うと、「急性期病院で長下肢装具を作成して転院してきた方がいい」という意見がほとんどでした。

やはり備品の装具ではフィッティングがよくない場合があるようです。
これは、急性期病院でも回復期病院でも同じですね。

『回復期病棟で働いております。
個人的な意見になりますが、本人用の装具があった方が、フィッティングもいいですし練習しやすいです。病院にある備品ではどうしても、フィッティングが合わない方もいるので』


また、短下肢装具を作りなおす場合の保険適応を考慮しても、長下肢装具を一度作成しておくメリットがあるという意見をいただきました。


『回復期病棟勤務は何年も前のことですが、長下肢装具あった方がありがたいです。最終的に短下肢で自立になる場合でも治療用としての長下肢は有効ですし、保険適応のことを考えても1回目を長下肢で作っておくと、短下肢を新たに作り直すこともできますしね!』


治療用装具の必要性を理解してもらえず購入できない場合もあるようです。
急性期病院からずっと備品の装具を使用し続けていたら、患者さんや家族が「なんでお金をかけて作る必要があるの?」という気持ちになるのかもしれませんね。

『回復期リハビリ病棟で働いている者です
結論から言うと大変ありがたいです
治療用装具という考え方はなかなか理解していただけないことも多く、備品を使用することが多いですが、個人用のものがあって困ることは決してないと思います』


急性期病院で装具を作って転院してきた患者さんを経験したことがないという意見もいくつかいただきました。
当院でも多くはありませんが、全く作成に至らないような病院もあるのかもしれませんね...

『回復期で管理者をしております。個人的には作って来てくれると大変嬉しいです。吉尾先生の話を聞いていても、リハ医の意見を聞いても、早めに麻痺側への荷重は有用と思います。急性期で作られている実態はほとんどありません。』


転院してから作成する場合、介入が後手後手になっているような印象を受ける方もいらっしゃるようです。
急性期病院で装具作成をしてから転院した方が、スムーズに患者さんのリハビリを引き継ぐことができるかもしれませんね。

『回復期PTです。むしろちゃんと作って早期離床させてガンガン歩かせてほしいです。できたらゲイトソリューション付きだとありがたいです。うちに来る人はみんな急性期で装具作らなくて、うちに来てから作ってます。だから発症後数ヶ月経ってて、後手後手感が半端ないです。


また、装具を作成した場合は、きちんとどういう意図で作成したのか転院先のスタッフにお伝えすることも大切ですね。

『装具だけではないと話ですが、どういう意図で作ったか、予後をどのように考えたのかとかそこを伝えて頂けるととても助かると思います!』


まだまだ長下肢装具を使用すること自体をネガティブにとらえる理学療法士もいるのが現状なので、「絶対に使いたくない」と考えている人が担当になるとせっかく作成しても転院後に使わなくなってしまうこともあるのかもしれませんね...

『これ、先月のサテライトカンファレンスでも少し話題にあがりました…
施設間で長下肢装具の認識が異なる事が多いと思うので、難しい問題ですよね^^;』


みなさんからのご意見で、急性期病院で長下肢装具を作成してから転院してもらうことにかなり前向きになることができました。

まだまだ急性期病院での装具作成は少ないのが現状だと思いますので、今後一般的になればいいなと思います。

以前、転院時のリハビリテーションサマリーの作成について回復期病院の理学療法士さんからご意見をいただいたこともありましたので、よかったらそちらも読んでみてください。

リハビリテーションサマリーって何を書けばいいの?

コメント

このブログの人気の投稿

GNRIによる栄養評価の意味と計算方法

リハビリテーションサマリーって何を書けばいいの?

Short Physical Performance Battery(SPPB)による身体機能評価