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AWGS2019によるサルコペニア診断基準の改定

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みなさんこんにちは。 2019年10月24日、AWGSによるサルコペニアの診断基準が改定されましたね。 原著(Chen LM, J Am Med Dir Assoc, 2019)はin pressの状態ですが、現在公開されている範囲で改定の内容について勉強しました。(論文が読めるようになったら加筆・修正すると思います) Table of Contents 1. AWGS2014による診断基準と課題 2. AWGS2019による変更  1. AWGSのサルコペニア 診断基準と課題 1988年にRosenbergがサルコペニアの概念を提唱し、2016年には国際疾病分類第10版(ICD-10)に収載されました。日本では、2018年に傷病名として登録されました。 欧州のワーキンググループである EWGSOP(European Working Group on Sarcopenia in Older People) は、2010年にサルコペニアの定義を「筋肉量低下と、握力低下または歩行速度低下」と定め、診断基準と重症度の分類を提示しました。 AWGS(Asian Working Group for Sarcopenia) は、2014年にアジア人の体格に対応させたサルコペニアの診断基準を定義し、下図のような診断アルゴリズムを作成しました。 参考: 健康長寿ネット(サルコペニアとは) 2014年のAWGSのサルコペニア診断基準の課題として、 BIAやDEXAが導入されていない施設においては骨格筋量の測定ができず、サルコペニアの診断を行うことができない という課題がありました。  2. AWGS2014とAWGS2019の変更点 AWGS2019での大きな変更点は以下の3つだと思います。 1. 診断プロセスが2段階に分けられた 2. 身体機能の評価方法が追加された 3. 握力・歩行速度の基準が変更された 全体的な診断アルゴリズムは下図のようになっています。 それでは、1つずつ確認していきましょう。  1. 診断プロセスが2段階に分けられた  今回の改定によって 「サルコペニアの可能性あり」 というプロセスが診断に追加されました。 BIAやDEXAがないよう

急性期病院で脳卒中患者さんに長下肢装具の作成って必要なの?

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みなさんこんにちは。 脳卒中後の急性期リハビリテーションでは、患者さんの状態によって長下肢装具を使用する場合もあるかと思います。 勤務先の病院では、長下肢装具を用いて急性期から歩行練習を行うことが一般的に行われており、患者さん用の長下肢装具をオーダーする場合もあります。 しかし、入院期間が短いためオーダーした装具が到着してもすぐに回復期病院に転院してしまうのが現状です。 そのため、 「転院してから状態に合わせて次の担当者に評価・作成してもらった方がいいのかな?」 と悩むことがありました。 今回は、Twitterで回復期病院の理学療法士さんたちからご意見をもらえたのでまとめてみました。 Table of Contents 1. 急性期病院で長下肢装具を作る? 2. 回復期病院の理学療法士さんからのアドバイス  1. 急性期病院で長下肢装具を作る? 脳卒中後の早期リハビリテーションが推奨されていることもあり、急性期病院では入院後すぐにリハビリのオーダーがでることも一般的だと思います。 ICU入室中から離床をすすめ、座位~立位~歩行へと動作練習へと移行していきます。 急性期では意識レベルや筋力の改善が乏しく、 動作練習に長下肢装具が必要になる場面も多い です。 評価用の装具を使用する急性期病院が多いかと思いますが、やはり患者さんによっては フィッティングが良くない という場合もあります。 そんな場合は、その患者さん専用の長下肢装具を装具屋さんに作成してもらうことを患者さんに提案します。 患者さんやご家族によっては二つ返事で作成を承諾される場合もありますが、金銭的なことやリハビリに対するモチベーションによっては作成を希望されない場合もあります。 作成を提案する我々スタッフとしても、 ようやく意識が回復して動作練習ができはじめ、今後どの程度動けるようになるか判断が難しく、数日で転院するであろう状況で装具の作成を提案することを躊躇してしまう こともあります。 そこで、Twitterで回復期病院の理学療法士さんにこんな質問をしてみました。 『回復期病院で働いてる理学療法士の方は、急性期病院にいる間に長下肢装具を作成してから転院してくることについてどう感じてるのかな。状態が変化していく中で、