【まとめ】廃用性筋萎縮ってなに

みなさんこんにちは。

今回は、廃用性筋萎縮について簡潔にまとめました。

理学療法士にとって「廃用性筋萎縮」はとても身近なことばではありますが、勉強してみるととても奥が深く、理学療法士が介入する余地が存分にある領域ではないかと感じています。


過度な安静や活動量の低下によって生じた身体機能の変化は廃用症候群と呼ばれます。

特に、過度な安静や活動量の低下によって生じた筋萎縮は廃用性筋萎縮と呼ばれます。

廃用症候群には一定の診断基準がありません。それまで出来ていたことができなくなったり、動きにくくなった場合には、廃用症候群が生じている可能性があります。

廃用性筋萎縮は、概ね1日あたり1%のペースで進行するという報告があります。

ちなみに、加齢による骨格筋の喪失は1年あたり0.5~1.0%のペースと言われています。


しかし、廃用による筋萎縮のペースは常に一定ではなく、不活動がはじまった最初の30日間で筋萎縮は特に進みやすく、30日以降では萎縮の程度が軽減すると報告されています。

ICU入室患者を対象とした研究では筋萎縮のピークが早まり、ICU入室後2~3週間で最も進みやすいと報告されています。

特にICUでの筋萎縮に興味のある方はこちらもご覧ください。

ICU入室患者の筋萎縮と入院期間の関係




不活動による影響は筋線維タイプによって差があることも知られています。

廃用性筋萎縮は、速筋繊維(Type II 線維)よりも遅筋線維(Type I 線維)の方が進みやすいと言われています。

遅筋線維(Type I 線維)の割合が減少し、速筋繊維(Type II 線維)の割合が増加する速筋化と呼ばれる筋線維タイプ移行が生じます。

また、伸筋よりも屈筋の方が廃用が進みやすいと言われています。

詳しい説明はこちらに記載しています。
廃用による骨格筋の変化 -bed rest-induced changes on skeletal muscle-
一般的に、健康な成人においては、筋タンパク質が合成される量と分解される量(筋タンパク質出納バランス)は等しく保たれています。

廃用性筋萎縮が生じるメカニズムとしては、主に筋タンパク質合成量の減少が原因と言われています。

不活動時の筋タンパク質代謝に興味のある方はこちらもご覧ください。
廃用性筋萎縮における筋タンパク代謝 -alterations of protein turnover underlying disuse atrophy-
廃用性筋萎縮に伴う筋力低下は高齢者の方が重度化しやすいことも報告されており、特に瞬発的な筋力は高齢者の方が減少しやすく、不活動後のトレーニングでも高齢者は筋力が改善しにくいと言われています。

廃用性筋萎縮と年齢の関係について興味のある方あこちらも御覧ください。
廃用性筋萎縮と加齢の関係 - the relationships between aging and disuse-induced muscle atrophy -


いかがでしたか。

廃用性筋萎縮について勉強すると、ベッド上で安静にすることがいかに危険なことか具体的にイメージしやすくなりますね。

今後は介入方法についても勉強していきたいと思います。

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